βエンドルフィンの快楽

斎藤環さん。「精神医学的な『幸福』は唯物論的に定義づけられている。神経伝達物質であるβエンドルフィンが、脳内で大量に分泌されている状況がそれだ。麻薬であるモルヒネやヘロインを使えば、疑似体験はできる。それではβエンドルフィンが持続的に分泌されるような状態を設計できれば、人は永遠に幸福になれるのだろうか。おそらく、そうではない。このことはネズミのレベルでも実証されている。モルヒネは一時の『快楽』は与えてくれるかもしれないが、安全な環境と仲間とのつながりがもたらしてくれる『幸福』にはかなわない、ということ。要するに結論はこうだ。幸福な人の脳内はβエンドルフィンが出まくっているのかもしれないが、βエンドルフィン(ないし類似物質)を大量摂取しても、それだけで『幸福』は得られない、ということ」快楽。