微笑のユーモアこそ

近藤康太郎さん。「本来書き始めた目的とは違う方向に、どんどん脱線していく。そこで重要なのは、乗客に脱線していると悟られないことだ。そのために必要なのが、ユーモアだ。本題と違うことを書いていて、それでも脱線と思われないのは、そこにユーモアがあるからだ。哄笑でも嘲笑でも苦笑でもない。おおらかな、ふと力が抜けるような、生きていく背中を押すような、微笑。怒りがあり、喜びがあり、悲しみがある。人間はそのつど、眉をつりあげたり、顔をほころばせたり、目を潤ませたりする。微笑は、その表情の三角形の中点にあたる。一番力が抜けている表情。それが微笑だ。そしてこの微笑のユーモアこそが、人間の人間たる所以、人間の一番強靭な心のありようなのだ。ユーモア(微笑)。アイロニー(皮肉)でも、ウイット(機転)でもなく」微笑を。