焼き鳥は鮮度が命

岩本一宏さん。「良質な鶏肉ということになれば、放し飼いにして育てられる地鶏のもの。地鶏は、運動量が豊富だから身が引き締まっている。エサの食いもよく、脂がのって美味しくなる。ただし、放し飼いにするにはそれなりの広さを必要とするので、おのずと数に限界がある。関東周辺で育てられ、東京に出荷される地鶏は、毎日5千~6千羽にすぎない。名古屋コーチンが最高の地鶏だったとしても、私はこの肉は使わない。なぜなら、鶏肉は、ほかの獣肉と違って、鮮度がことのほか大切だからである。鶏は、シメてから6時間余り死後硬直が続くが、それが終わってから24時間以内に食べるのが最も美味しいとされる。したがって、名古屋から東京に運び、それを問屋さんが処理して小売店に届く頃には、美味しく食べられるタイムリミットを超えてしまう」鮮度が。