周囲を幸せにすること

矢野和男さん。「『幸福』あるいは『幸せ』は、古今、人生の目的、社会の究極の目的であると論じられてきた。紀元前4世紀のギリシャにおいて、アリストテレスが幸福を論じ、幸福こそが『最高善』であり、それ自身が『完結した目的』であるゆえ、それ以上の説明を必要としないものと位置づけた。まさに幸せこそが、我々の目指す目的であると、昔から考えられてくたのである。しかし、古典や宗教音教えを見ても、『自分の幸せを追求せよ』という教えは不思議なほど聞かない。むしろ、幸福論においても、宗教においても、強調されるのは『周囲を幸せにすること』である。たとえば、キリスト教の中心的な教えは、『汝の隣人を愛せ』という。仏教では『慈悲』という。儒教では『仁』という。いずれも、自分から周囲への働きかけを強調するものである」ふむ。