『惜福』の工夫

幸田露伴さん。「幸福か、不幸かというのも、風が順風か逆風かと同じ。つまりは主観による判断で、どちらかに定まっているわけではありません。『幸福を得る人』と『そうでない人』を比べてみると、その間に微妙な行動の違いがあるようです。第一に、幸福に合う人を見ると、多くは『惜福』の工夫がある人であり、そうでない不運の人を見れば、十人のうち八、九までは少しも『惜福』の工夫がない人です。『惜福』とは何かというと、福を使い尽くし、取り尽くしてしまわないようにすることです。たとえば手元に百円(今の十万円くらい)をもっていたとして、これをすべて使い果たし、半文銭(五円玉くらい)すら残らないようでは『惜福』の工夫がないと言えます。つまり、必要なもの以外には使わず、無駄なことに浪費しないのが『惜福』なのです」浪費しない。