永守重信さん。「自宅の一室で図面を引き、近くの染物工場の一部を借りて、そこに旋盤、ボール盤、プレス機を一台ずつ置かしてもらい、仕事を始めたのです。どこへ行っても仕事がもらえず、やっと受注できたのは、よそが断った仕事ばかり。技術者に聞くと、絶対に出来ないという。そんな時みんなで、出来る、出来ると100回言おうというわけです。「出来る、出来る、出来る……」と。「どうや」「いや絶対に出来ません」という答え。それじゃもう100回言おう。「出来る、出来る、出来る……」「どうや」「いや絶対に出来ません」という答え。それならばと今度は1000回言うのです。すると不思議なことに、出来る気分になってくるのです。その時一気に取り掛かる。こうやって日本電産は技術を蓄積していったのです」できると千回。