着手は動機よりも重要

nakatomimoka2015-03-30

アランさん。「仕事が着手されたということは、動機よりもはるかに重要なことだ。どんな仕事においても、待歯石はその仕事を続けるための十分な根拠となる。だから、前日の仕事に自分の意志の刻印を認めうるものは幸福だ。人間はたえずなにかよいことを目指している、といわれる。しかし私のみるところ、人間は合理的な目的の前では怠け者だ。人間の想像力は、まだなんにも形をとっていない仕事に対して人々に関心を持たせるほどの偉力は持っていない。だからこそ、やればいいなと考えながら自分では少しもやらない仕事が、われわれのまえにはたくさんあるのだ。興奮はいつも現在にあるが、計画は常に未来にある。そこで、『いずれはやる』という、怠け者の言葉が出てくる。しかし人間の言葉としては、『現にやっている』とこそ言うべきだ」まず着手。

追記:待歯石の待歯とは「将来建物を継ぎ足すため、建築中に建物の一部分に石、鉄、煉瓦などを出しておくこと」(『建築大辞典』彰国社)である。ここから転じて、次の仕事をするためのきっかけというような意味で使われる。