陳健民さん。「私がいま一番嬉しいことは、日本中で麻婆豆腐の名前を三つの子供でも知っているってことね。麻婆豆腐はいろいろな説があるんですがね。四川省の成都市北門外という所で陳さんというおばあさんが豆花飯という料理を売っていたそうです。ニガリをいれる前のやわらかい豆腐をごはんの上にかけて、辛いタレで食べる。その陳おばあさんの店の前に肉屋があって、ある時油を運ぶ労働者が前の店で肉を少々買って、陳おばあさんの店に来て言ったんです。『おばあさん、油がオケの底に少々残っているから、これでこの肉を炒めて料理を作ってくれないか』って。陳おばあさん、その肉を細かくたいて、油で炒めて豆板醤で味をつけ豆花を入れて醤油で味付けして出したら、これがおいしくて。顔にアバタがあったの。麻はあの山椒の黒いアバタのこと」辛っ!
[追記]本郷 義浩さん。「誕生したのは1870年代と言われている。陳家の顔に麻(あばた)のある婆(奥さん)が発明した豆腐料理なので麻婆豆腐と呼ばれるようになり、その流れを汲む元祖の店の名は『陳麻婆』。当然、大豆を発酵させた豆鼓(とうち)も入っていましたが、その豆鼓を考案したのは諸葛孔明だという説があります。」