目的は行為の内に存在

nakatomimoka2018-01-02

岸見一郎さん。「常識的には、物があって、その物が、時間・空間の中で動く。この世界観においては、世界の一部である人間の行動は、『人間がいて、その人間が、時間・空間の中で、行動するーある目的に向かって』と考えることができる。しかしこのように把握された人間の行動は、運動(キーネシス)に他ならない。運動であれば、目的は早く達成されるのが望ましい。キーネシスは時間の内にあって、その行為自体は目的ではない。しかし人間本来の行為のあり方はこのようなキーネシスではなく、エネルゲイアであり、効率という観念が本質的に入りこむ余地がない、とアリストテレスは考える。目的は行為の内に存在する。行為自体がそのまま目的ということである。刻々の今、生きてしまっている、そのようにアリストテレスは考えるのである」今ここに生きる。