立ち止まらないこと

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安田登さん。「大切なことは年を取っても『花』を保つことです。それは決して『若さ』を保つことではありません。『若さ』というのはいずれはなくなるもの。それに頼っていては、芸能者としてはむしろ危険なのです。世阿弥が老いの『誤り』としてあげているのは、自分の花がすでに失せているのも知らず、若いころの名声ばかりを頼りにして、若いころと同じようにすることです。世阿弥は『住する所なきを、まづ花と知るべし』と書いています。老いても『花』であるためには立ち止まらないこと、過去の栄光にしがみつかないことが大切です。からだも十分に動かず、声も美声ではなくなってきた。その時にこそ本当の能、すなわち『心(しん)にてする能』、あるいは『心より出で来る能』ができるようになるのです」謡や舞の美しさという技ではなく、心で演じる。