相対的な優劣を競わない

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内田樹さん。「一番大切なのは、競争をしないことです。人と相対的な優劣を競わない。競争的環境に身を置かない。沢庵禅師の『太阿記』の冒頭に、『蓋し兵法者は勝負を争わず、強弱に拘らず。一歩を出でず、一歩を退かず』とありますけれど、修行では、勝った負けた、強い弱い、うまい下手ということを論じません。相対的な優劣を競う稽古をしていると、人間の生きる力は発現しないからです。実際には、多くの人達は逆のことを考えている。人間というのは競争的環境に投じて、勝者には栄誉を与え、敗者には屈辱を与えるということをしていると、人は褒賞を求め、処罰を嫌って、その能力を最大化する、そう信じている人が殆どです。でも、これはまったく間違っている。協奏的環境に置かれると、人間の『生きる力』は次第に痩せ細ってゆくのです」そう。