運命の定・不定

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甲野善紀さん。「『人間は自らで運命を切り拓くのだ』という考え方は何か大変力強いようにもみえますが、見方を変えれば、そういう風に積極的に自己肯定をしていないと不安だ、という心理の裏返しかもしれません。そうした思考は、確かにいかにも肯定的で素晴らしい感じがしますが、賢明に何かを見るまいとして視線を外しているようにも感じられるんですよ。私は、私の気づいた運命の定・不定、つまり『人間の運命は完璧に決まっていて同時に自由でもある』という話をするとき、よく言うんですけれど、悲劇の芝居の主人公を演じる俳優は、その芝居の脚本をハッピー・エンドになるように変更することを要求したりはしませんよね。『悲劇になるなら演じたくはない』などとは言わないで、その役どころをどう演じきるかということに思いを注ぐはずです」運命。