強弱勝敗を論じない

nakatomimoka2011-06-25

内田樹さん。「甲野先生はいま『運命』というかなり強い言葉を使われましたが、僕はもう少し柔らかい表現で『潜在的な可能性』とか『ポテンシャル』というふうに言っています。人間がどれぐらい潜在的可能性をもっているのか。武道の稽古を通じてそれをどこまで開花させることができるのか。それが修行の核心だと思うんです。他の人たちと比べて自分の方が強いとか、動きが速いというようなことは結果的なことでしかない。競うことは、修行の目的ではないと僕も思っています。師範の多田宏先生から教えていただいたもっとも重要なことのひとつは『強弱勝敗を論じない』ということです。それは敵とか競争相手との相対的な関係にとどまらず、自分自身の内面をみつめる方法として武道・武術がある、ということだと思うんです」能力を、開花させるために。