悪魔の声・妄念

イーサン・クロスさん。「私たちは、自分自身に話しかける。そして私たちは、自分自身の言うことに耳を傾ける。文明の夜明け以降、人類はこの現象と格闘してきた。初期のキリスト教神秘主義者は、黙想を絶えず邪魔する頭の中の声にひどく悩まされていた。それを悪魔の声だと考える者さえいた。同じ頃、東洋では、中国の仏教徒が人の心象風景を曇らせる乱れた思考状態について理論を立てた。かれらはそれを、『妄念』と名づけた。それにもかかわらず、まさにこれらの古代文化が内なる声は『知恵』であると信じていたのだ。こうした信念こそ、黙祷や瞑想といった何千年も続いてきたいくつかの慣習を支えるものだ。多くの精神的伝統が内なる声を怖れると共に、その価値を強調してきたという事実は、内なる対話への今なお続く相反する態度を物語っている」黙想。