引退後に不幸になる

アーサー・ブルックスさん。「出世競争に勝てば幸福になれるという前提自体が、完全に間違っているのです。その男性が『人並みの』人生を送っていたなら、あれほどの無力感に苛まれることはなかったかもしれません。『職業的威信と苦悩の相関関係』と呼べるかもしれません。落ち込みによる苦悩の程度は、過去に培った威信の大きさと、威信への執着度に直接関係しているのではないでしょうか。高い期待を抱かず、たいした業績を上げない人は、おそらくキャリアが落ち込んでもあまり苦しみません。でも、卓越した業績を達成し、そのために深く打ち込んできた人は、避けられない凋落に直面したとき、激しい虚無感に襲われる可能性があります。むしろ、仕事で権力と業績を追い求めてきた人は、そうでない人に比べ、引退後に不幸になる傾向があります」執着。