まだおいしくなれる

小野二郎さん。「職人というと、昔からの伝統を受け継ぐだけのものだと考えている人が多いですが、それは違うと思うんです。だって、人と同じものを作っていたら、見習と同じじゃないですか。すしは江戸時代からあるからか『もうこれ以上は何もできない』っていう考え方があったのだけれど、私はそんな事はないと思っていた。江戸前の代表的なネタであるコハダに対してだって、親方から教わったことを思い返しながら、『まだおいしくなれる、まだおいしくなれる』って考えてた。私は今でも、『どうしたらおいしくなるか』って毎日考えています。突然アイデアが浮かんで、夜中に飛び起きたこともあります。例え今修行中でも、自分が主だったらと考えながら仕事すると必ず成功します。独立したら考えようなんて人は、独立したあとでも考えないですよ」日々。