玄侑宗久さん。「私たちの人生がだんだん高まっていく、だんだん完成に近づいていくという見方に私たちは慣れているわけです。そこから『人格の完成』なんていうテーマも出てきたりする。しかし一方で、無邪気さを無上のものと考える価値観もあります。『幼子の 次第次第に智慧づきて 仏に遠く なるぞ悲しき』。この世で最も強いのは『無邪気さ』だという考え方ですね。道教では、修行するときに自分の五歳のときの写真を大きく拡大して壁に貼ったりする一派があります。五歳というのが、人間の理想だというわけです。無邪気さを残しつつ論理的思考もできるようになるっていう歳なんでしょうかねえ。（略）あるいは無垢といってもいい。無邪気さとか、無条件に自分を信じてくる相手というのは凄い力を持っていると思いますよ」無邪気さを失わずに。
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