聖なる天蓋

nakatomimoka2011-05-08

内田樹さん。「分析的な意味での『父』は世界中のあらゆる社会集団に存在する。『父』とは『聖なる天蓋』のことである。その社会の秩序の保証人であり、その社会の成員たち個々の自由を制限する『自己実現の妨害者』であり、世界の構造と人々の宿命を熟知しており、世界を享受している存在。それが『父』である。『父』はさまざまな様態を取る。『神』と呼ばれることもあるし、『預言者』と呼ばれることもあるし、『王』と呼ばれることもあるし、『資本主義経済体制』とか『父権制』とか『革命的前衛党』と呼ばれることもある。世界のすべての社会集団はそれぞれ固有の『父』を有している。『父』はそれらの集団内部にいる人間にとっては『大気圧』のようなもの、『その家に固有の臭気』のようなものである。だから、それは成員には主題的には感知されない」何が父か。