素人の稽古の目的

nakatomimoka2012-09-06

内田樹さん。「『本務』で優れたパフォーマンスを上げる為には、『本務でない所で失敗を重ね、叱責され、自分の未熟を骨身にしみるまで味わう経験』を積むことが極めて有用だからである。素人がお稽古することの目的は、その技芸そのものに上達することではない。『素人』がお稽古ごとにおいて目指しているのは、『できるだけ多彩で多様な失敗を経験することを通じて、己の未熟と不能さの構造について学ぶ』ことである。それは玄人と目指す所が違う。玄人は失敗すれば職を失い、路頭に迷う可能性があるけれど、素人はそれがない。私たち素人が玄人に対して持っている『アドバンテージ』はまさにそれだけなのである。『それだけ』だとすれば、『それこそ』がお稽古ごと全てに貫流する教化的な要素だということは論理的に推論せらるるのである」稽古を。[Photo:Y]