無能唱元さん。「森瑤子さんにビジュアリゼーションという方式を使えばいいと教えた。まず、ゆるやかな平静心をもって、一定の呼吸をつづけて、そしてボーっとしてきて、ウットリした気分になったならば、自分が賞をもらう授賞式に臨んでいる、そういうビジョンを心に描く。授賞式に行って、賞をもらって、みんなの『おめでとう』と呼びかける声を聞きなさい、と私はこう言った。授賞式に何を着ていくか、どういうアクセサリーをつけるか、それも決めて心に描くんだと。彼女はそれから一週間というもの、自分の部屋に子供を入れずに、このビジュアリゼーションをやった。今、念力中だから面会謝絶だなんて。一週間目に入選の電話、『(すばる文学)賞取りました』と聞いて私は自分でその力に驚きましたね」賞賛を前受するのではなく、鮮やかに描く。