川上徹也さん。「まずは、国(都市）を欠落した主人公にしたてあげる。続いてそんな主人公がどん底から這い上がって、かつて栄光のある時代を取り戻すストーリーを提示する。かたや、演説者自身やその党のこれまでのストーリーも提示する。『最初は賛同者が少数で取るにたらない存在だった自分たち』が、『ここまでの賛同者を得るような存在になった』というストーリーを語るのだ。そうやって２つのストーリーを語ると、不思議なことがおこる。国や都市が再生していくストーリーと、演説者やその党が這い上がってきたストーリーが交錯して、聴衆の中で渾然一体となるのだ。どちらも黄金律にかなう、人の感動のツボを押すストーリー。２つのストーリーを聴いているうちに、聴衆もストーリーに自らを重ね合わせてしまい、感情移入してしまう」高度なテク。
