熱意さえあれば幸せか

國分功一郎さん。「熱意はおそらく幸福と関連している。だが、ラッセルはそこから、『熱意があればよい』『熱意さえあれば幸せである』という結論に至ってしまった。そこが問題である。実際、ラッセルはこの結論の問題点にも気づいていたように思われる。彼は熱意を傾けられる道楽や趣味が、大半の場合は根本的な幸福の源泉ではなくて、現実からの逃避になっているとも指摘しているからである。(略)『新世界の建設』という外から与えられた課題が、パスカルのいう意味での気晴らしでないとどうして言い切れようか? 『新世界の建設』は高尚な課題であるから、ウサギとは違うのだろうか? いや同じである。高尚であるがゆえに、人は自分がパスカルのいう気晴らしの構造に陥っていることをなかなか認めないだろう」熱意を傾けられるものを本質的に。