退屈が悩み事に

國分功一郎さん。「退屈が人々の悩み事になったのはロマン主義のせいだーこれがスヴェンセンの答えである。ロマン主義とは18世紀にヨーロッパを中心に現れた思想を指す。ロマン主義者は一般に『人生の充実』を求める。しかし、それが何を指しているのかはだれにも分からない。だから退屈してしまう。人生の充実を求めるとは、人生の意味を探すことである。スヴェンセンによれば、前近代社会においては一般に集団的な意味が存在し、それでうまくいっていた。個人の人生の意味を集団があらかじめ準備しており、それを与えてくれた。例えば近代以前、共同体の中で一人前と認められることは大きな価値を有していた。共同体はある若者を一人前と認める為の儀式や試練(成人の儀式等々)を用意する。個人はそれを乗り越えることに生きる価値を見出す」人生の充実。