清貧の勘違い

國分功一郎さん。「日本でもかつて『清貧の思想』というのが流行ったがまさしくこれだ。こうした『思想』は根本的な勘違いにもとづいている。消費は贅沢などもたらさない。消費する際に人は物を受け取らないのだから、消費はむしろ贅沢を遠ざけている。消費を徹底して推し進めようとする消費社会は、私たちから浪費と贅沢を奪っている。しかも単にそれらを奪っているだけではない。いくら消費を続けても満足はもたらされないが、消費には限界がないから、それは延々と繰り返される。延々と繰り返されるのに、満足がもたらされないから、消費は次第に過激に、過剰になっていく。しかも過剰になればなるほど、満足の欠如が強く感じられるようになる。これこそが、20世紀に登場した消費社会を特徴づける状態に他ならない」浪費することで贅沢な満足を得ないと。