浪費するのを妨げる社会

國分功一郎さん。「消費社会は、わずかな物を記号に仕立て上げ、消費者が消費し続けるように仕向ける。消費社会は私たちを浪費ではなくて消費へと駆り立てる。消費社会は、私たちが浪費家ではなくて消費者になって、絶えざる観念の消費のゲームを続けることを求めるのである。消費社会とは、人々が浪費するのを妨げる社会である。消費社会において、私たちはある意味で我慢させられている。浪費して満足したくても、そのような回路を閉じられている。しかも消費と浪費の区別などなかなか思いつかない。浪費するつもりが、いつのまにか消費のサイクルのなかに閉じ込められてしまう。この観点は、質素さの提唱とは違う仕方での消費社会批判を可能にするからである。しばしば、消費社会に対する批判は、つつましい質素な生活の推奨を伴う」消費と浪費。