数学の天才を生む土壌

藤原正彦さん。「以前、数学の天才がどんな地で生まれたかを調べたことがある。天才とは、人口に比例して出現するものではなかった。特定の国とか特定の地域から頻出している。数学の天才を生む土壌には三つの特徴がある。第一は美の存在である。美しい自然も芸術もないような土地から天才は生まれない。第二は何かにひざまずく心が人々にあることである。ひざまずく対象は神でも仏でも自然でもよい。人間を超えた存在なら何でもよい。現代イギリスの如く伝統にひざまずく場合もある。第三は役に立たないことを大切にする心である。物質とか金銭より精神を上位におくという心の形である。これら三つの特徴を考えると、天才数学者を生む土壌が文学や芸術での天才を生む土壌と似ていることに気づく」せめて美に触れ、ひざまずく心で、精神を上位に。