時の流れと共に生きてゆく

nakatomimoka2009-05-31

池澤夏樹さん。「(イサク・ディネセン『アフリカの日々』に)こういう文章がある。「時間についても、土地の人たちはゆったりした友好関係をたもち、退屈して時間をもてあますとか、ひまつぶしをするとかということはまったく考えてもみない。実際、時間がかかればかかるほど、彼らは幸せなのである。たとえば、友人を訪問するあいだ、あるキクユ族に馬の番をたのんだとしよう。すると、彼の顔つきは、その訪問がなるべく長びけばよいと思っていることをあらわに示す。彼はそういうとき、時間をつぶそうとはしない。腰をおろし、しずかに時の流れと共に生きてゆくのを楽しむのだ」ああ、そうだったのか、と気づく。あるいは、そうだったよな、と思い返す。時間というのは本来、中に何かをぎっしり詰め込む箱ではなかった」時の流れに溺れぬように。