ステーキより鯛焼きのばり

nakatomimoka2014-10-11

穂村弘さん。「昨日までにいた世界の価値観に、まだひっぱられているのね。霜降りのステーキがいいものだという。いや、霜降りのステーキは実際にいいもので、僕も三者択一でこの中から選ぶなら、霜降りのステーキを選ぶけれども、それは生身だから選ぶんであって、短歌的には、それは全然違う。だからみんな、わかってる。このベクトルは。短歌においては、非常に図式化していえば、社会的に価値のあるもの、正しいもの、値段のつくもの、名前のあるもの、強いもの、大きいもの。これが全部NGになる。社会的に価値のないもの、換金できないもの、名前のないもの、しょうもないもの、ヘンなもの、弱いもののほうがいい。そのことを、短歌を作る人はみんな経験的によく知っているので、鯛焼きのばりみたいなものを短歌に詠むわけです」なるほどね。