働くことへの違和感

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泉谷閑示さん。「『高等遊民』代助の感じていた『働くこと』への違和感とは、いったい何であったのでしょうか。本来は人間的な手応えを得られるはずの『仕事』というものが、いつの間にやら『労働』というものに吸収合併され、すっかり変質してしまったということ。そして、『労働』こそが価値を生むものであるという『労働価値観』が社会経済の基本的価値観となってしまったこと。さらに、古来は最も価値あることとされていた静かな『観照生活』の意味はすっかり忘れ去られて、単に怠惰で非生産的なものとしてしか捉えられなくなってしまったこと。また、ひたむきに『天職』を遂行する事が『世俗内禁欲』という徳のある生き方であるというプロテスタントの価値観が出発点になって、『労働』して稼ぐ事こそが善行であるとされるようになったこと」観照