生きていく上での力を得る

nakatomimoka2017-08-29

池澤夏樹さん。「文学は、そうそう直接に役立つものではないと思います。ただ、文学のなかには、人間の原型があります。私たちは普段、表面のふるまいでお互いを理解しようとするけれども、もっと深いところに埋められた基本のかたちがあると思うんです。文学を読むことで、それを知ることができる。人間のふるまいのパターンや心のありようがたくさん入ってきて、自分がもっている経験的な人間の定義がぐっと広がっていく。人の見方が豊かになる。これは文学だけでなく、音楽や映画でもいいんです。芸術という知的な活動によって、生きていく上での力を得るということだと思います。(中略)しかしやっぱりぼくは、文学を読むことには大いなる意味があると信じています」文学を読むことで、音楽を聴くことで、映画を観ることで、人生を豊かに。