魂の宿りはいくらか

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町田康さん。「このホテルの喩えのなかで言えば、自分の魂の宿りはいったい一泊(一生)いくらなのか、ということを考えればよいのである。多くは以下のように考える。まあ、普通の庶民なんだから三万円ということはないだろう。そんな高貴な魂でないことは重々わかっている。だからといって三千円の宿はつらい。なのでまあ、一泊八千円? それくらいのところには最低でも泊まりたい。まあ、順当な考えと思われるが、実際の価格とはそれでもまだ乖離があって、本当のことを言うと、神が設定した、または需要と供給のバランスから導き出される魂のホテルは三千円から五千円くらいなのである。しかし多くは八千円くらいが自分の魂に釣り合うと考えている。そしてそこからさらに妄想が膨らむ。少々無理をしてでも一万八千円の部屋を目指す」どうですか。