半分はいまを生きていない

イーサン・クロスさん。「21世紀に広く行きわたった文化的マントラは、『いまを生きよ』という勧めである。この格言の知恵は充分に理解できる。過去の痛みや未来への不安に囚われることなく、まさにいま、他人や自分自身とつながることに集中すべきだというアドバイスだ。それでも、人間の心を研究する科学者として、私はこの善意のメッセージが生物としての私たちの仕組みにどれほど逆らうものかを指摘せずにはいられない。人間は、いかなるときも『いま』にしがみつくようにはできていない。私たちの脳は、そうするように進化してはいないのだ。近年、最先端の手法によって、人類について注目すべき事態が明らかになった。すなわち、目覚めている時間の3分の1から2分の1のあいだ、私たちはいまを生きていないのである」半分もそうであったか。