幸福である中の不幸

國分功一郎さん。「自分が論じたいのは、現代人の不幸、すなわち、『食と住を確保できるだけの収入』と『日常の身体活動ができるほどの健康』を持ち合わせている人たちを襲っている日常的な不幸である、とラッセルは言う。人はそれを贅沢病というかもしれない。飢餓や貧困や戦争に比べれば何のことはないと言う人もいるかもしれない。だが、日常的な不幸には、そうした大きな非日常的不幸とは異なる独特の耐え難さがある。退屈とは何か? ラッセルの答えはこうだ。退屈とは、事件が起こることを望む気持ちがくじかれたものである。ここで言われる事件とは、今日を昨日から区別してくれるもののことである。人は毎日同じことが繰り返されることに耐えられない。『同じことが繰り返されていくのだろう』と考えてしまうことにも耐えられない」イベント。