進化にまぎれこんだバグ

アーサー・ブルックスさん。「『増やしたい』という衝動以上に強力なのが、『減らしたくない』という抵抗感です。現代生活では、心身を消耗してまで5台の車やら5つの浴室を、もっと言えば5枚のシャツさえも、持つ意味はまったくありません。でも、単純に、欲しいのです。その理由を解き明かすのが神経生物学です。新しいものを購入する、お金を手に入れる、権力が増す、評判が上がる。さらには、性的なパートナーができる、といったことを考えると、神経伝達物質ドーパミン(ほぼすべての依存行動の裏にある快感の素)が放出されます。生き残って遺伝子を残すのに有利な行動を取ると、私たちに報酬を与えるように脳が進化したのです。現代生活においては前世紀の遺物ともいえる仕組みですが、何はともあれそれが現実です」ドーパミンのバグ。