バランス志向的幸福

内田由紀子さん。「日本では、幸せな状態はその時々で変化するものであり、良いことばかりが続く人生というのはなかなかない、という価値観が生活の中で根づいている。物事には良い面と悪い面の両面が同時に存在するという『陰陽思想』の影響がある。あまりに幸福であることはかえって不幸を招き、むしろ、『良いこと・悪いことが同数存在するのが真の人生である』という、いわば『バランス志向的幸福』が共有されている。幸せの意味について5つ記述してもらう課題を実施すると、アメリカでは得られた記述全体のうち97.4%がポジティブな記述(何かを達成したときに感じる、何事にも前向きになるなど)になったのに対し、日本では全体の68%にとどまり、残りの三割近くは『幸せになると人から妬まれる』といったネガティブな記述がみられた」陰陽。