幸福は集合的な現象

内田由紀子さん。「繰り返し述べてきた考えの一つは、幸福は『ごく個人的』なものと考えられがちであるが、実は社会や文化の影響を大きく受ける、『集合的な現象』でもあるということである。文化や社会という環境のなかで学習され、伝達され、共有される『幸福のあり方』は、そこに生きる個人のライフスタイルや幸福感を方向付け、その行動にも影響を及ぼす。これまでの心理学の研究モデルは、個人内のメカニズムについて検討することを超えられないという理論的・方法論的限界があった。しかし、幸福のようなより大きな問題を考慮したときには、個人モデルの追求だけでは足りない。社会の価値観に関する分析、自然環境に関する分析など、分野を越えた協力関係のもとに研究を進めていく必要がある」文化や社会の中で変わりうる幸福の概念と変わらぬものと。