内田由紀子さん。「価値観は同じ人の人生の中でも、様々な状況によって移り変わる。幸福とは社会・文化的な状況と、個人の性格特性や志向性などの価値観を反映するものである。アメリカにおいては、『幸福な人物とは、若く健康で、良い教育を受けており、収入が高く、外向的・楽観的で、自尊心が高く、勤労意欲があり……』と良いことがたくさんあることが幸福であるとされている。これは社会心理学の教科書に幸福の定義として掲載されているものである。しかし、これを日本の授業や講演会で話すと、『なんだか出来すぎな人じゃないと幸福ではないってこと?』というような反応が返ってくる。日本文化の価値観では、『良い』ことは必ずしも良い意味だけをもつのではなく、否定的な側面をコインの裏表のように併せ持っているという人生観が存在している」裏表。