体験デザインとは

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玉樹真一郎さん。「マリオを右に進ませると、このゲームの最初の敵・クリボーが登場します。ここでひとつ重要な問題を出させてください。クリボーを発見したときのプレイヤーの気持ちをお答えください。『〇〇の気持ちを答えよ』。なんだか国語の問題みたいですが、言ってみれば体験デザインとは人の気持ちを考えることです。プレイヤーはクリボーを見て、よろこびます。答えは、『右へ行って正解だった! とよろこぶ』。右にいくのかなと仮説を立てて、不安の中で実際に試してみて、仮説が当たってよろこぶ。仮説を立て、試行し、歓喜する。マリオの冒頭からクリボー登場までのわずか数秒の間にも、プレイヤーの心は実にこれだけ動いていたんですね。逆にデザイナー側から見れば、わずか数秒の間にこれだけの体験をデザインしているんです」仮説試行歓喜

人とふれあうことで

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堀田秀吾さん。「そもそも人は、人とふれあうことでエネルギーを貰うことができるようになっているからです(スキンシップがあるとなおさら良し!)。セロトニン神経をさらに活性化させるのが、オキシトシンというホルモンです。オキシトシンは、母親が母乳を与えている時に増えることが観察されています。このオキシトシンが増えると、ストレスが消えて幸福感が増すと言われています。では、オキシトシンが出るのはどんな瞬間なのでしょうか。それは、人とのスキンシップです。たとえばハグをしたり、頭をなでられたり、単純に会話をするだけでも分泌されます。(ちなみに、分泌量が最大限に達するのが性交だと言われています)。存分にスキンシップを行うことで幸福度は増していきます。お勧めしたいのがマッサージ店に行くことです」スキンシップで。

仲良くなりたい人と

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堀田秀吾さん。「ラズランが提唱した『ランチョン・テクニック』。人は食事をしているとき、説得や交渉を受け入れやすくなるというものですが、それは、美味しいものを食べながら話していると、気分が良くなるから。特におすすめなのは、いつもの仲良しメンバーではなく、『この人と仲良くなりたいなぁ』と思っている人を誘ってみることです。『幸せホルモン』とも呼ばれるセロトニンは、対人コミュニケーションに非常に大事な役割を果たし、一時的な感情に左右されることなく、自分と他人との関係を見つめて、現実に何が必要かを前向きに考えることができるようにしてくれるという物質です。活性化させるには、できるだけ人と接触すること、そして、人と話すときに相手がどんなことを考えているのか、どういう感情なのかを考えながら話すこと」美味しく。

リーディングライン

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秋田麻早子さん。「(絵画で)重要な箇所に向けて目を誘導する線のことを『リーディングライン』と呼びます。人は似たようなものが並んでいると、線上のものとしてつなげて認識し、リーディングラインの働きをします。身振りや手振りも、線と同じように方向を示します。(略)フォーカルポイントを指さないリーディングラインがあるということです。二番目に重要なポイントを設けることは、一極集中の『安定』を崩します。主役が二人のケースをまま見かけますが、一方で『主役を二つ置くのは難しい』とも言われています。その理由の一つは、W主役のバランスを上手に均衡させることの難しさにあります。連携させるためには、人なら手を繋がせるのが簡単な解決策です。『アダムの創造』における二人の手が触れそうな瞬間はあまりに有名です」なるほどね。

フォーカルポイント

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秋田麻早子さん。「一枚の絵と向き合ったとき、一体どこから始めたらいいのでしょう? こう考えてみてください。初対面の人と会うとき、まず顔を見ますね。絵にも『顔』に相当する部分があるのです。まず顔に相当する『フォーカルポイント』を見つけましょう。そこが絵を見始めるスタート地点です。フォーカルポイントとは、『焦点』という意味で、絵の中で最も重要な箇所を指します。絵の主役で、画家が一番に見てほしいと思っているところです。1.画面にそれ一つしかない。2.顔など見慣れたもの、3.そこだけ色が違う、4.他と比べて一番大きい、5.画面のド真ん中にある。画家は、フォーカルポイントに一番の明暗差を持ってくるよう、注意深く配慮しています。また、線を一点に集めることで、重要さを表すことができるのです」絵画の見方。

漫画の29年後に

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鱸正人さん。「日本バスケットボール協会で強化責任者を務める東野智弥には最近の講演で欠かせない『鉄板ネタ』がある。野球とサッカーでは大人気漫画の連載開始から29年後にエポックメーキングな出来事が起きた。1966年の『巨人の星』と95年の野茂英雄の大リーグデビュー。81年の『キャプテン翼』と2010年のワールドカップ(W杯)南アフリカ大会16強入り……。では、バスケはどうか? 累計発行部数1億冊超の『SLUM DUNK』の連載開始が90年。そして今年(19年)、男子日本代表が自力でW杯出場を掴み、44年ぶりの五輪出場も決まった。豪州戦後、東野は千葉市の会場で『SLUM DUNK』の作者、井上雄彦と思わず顔を見合わせた。『同じですね』。分岐点となった一戦のスコアは79-78。湘北高が常勝の山王工業高を破ったスコアと一致していた」29年後。

情けは自らの幸せに

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堀田秀吾さん。「ラッドらが行った実験によると、人は自分の為に何かするよりも、他の人の為に良いこと(向社会的行動)をして、それを達成できるとハッピーになるということがわかりました。具体的に人の為になるような行動をとると、自分自身のハッピー度もあがるのです。具体性を持たせる為には、期待と現実の溝をできるだけ小さくすることが大事です。その為には、達成しやすい目標を定め、それを実行し、達成することです。誰かを笑わせることだとか、ゴミのリサイクルに出せるものの量を増やすだとか、そういった程度でいいのです。これを、『他人の幸せの為』『地球環境の為』といった抽象的なレベルにしてしまうと、実現度合がはっきりしなくなって、具体的な目標に比べてハッピーと感じる度合いが低くなる結果が出ています」世のためより人の為。