楽園はどこにある

中島らもさんの本に「楽園は存在する。いま、ここがすなわち楽園なのだ。我々に必要なのは、それに気づくことだけである」という考え方が紹介されている。古代のマヤ民族には「現世ー楽園置換装置」というべきものがあったそうだ。それは窓はなく、小さな穴がいくつかあいているドームであり、その中に人間を閉じこめ、トウガラシをいぶした煙を送り込む。ドームの中はこの世の地獄になり、もうろうとした意識の中で中に壁画で書かれている怪物達が動きだす。そのときドームの戸が開かれ、冷たくて香りのよい空気が流れ込んでくる。人々は自分が立っている「いま」「ここ」がすなわち楽園にほかならないことを確信する、というものである。あって当たり前と思っているものをありがたいと思えればここは楽園、いまは楽園。