仕事は一日も休んではいけない   

河谷史夫さん。「(黒澤明橋本忍が「七人の侍」を創るにあたり)脚本書きは宿にこもる。『仕事は一日も休んではいけない』と、これが黒澤の哲学である。シナリオを書く作業はマラソンに似ているというのだ。『頭を上げてはいけない。目線はやや伏せ目で、前方の一点を見つめ黙々と走る。こうして顔を上げず、ただひたすら走り続けていればやがてはゴールに到達する。』午前十時から午後五時まで、一日の仕事は七時間。橋本の第一稿を叩き台にして決定稿を作ってゆく。ともに同じシーンを書き、出来が良く、面白いほうが採用になる。この黒澤式共同脚本作法を橋本は『骨身を削られるよう』と後に人に語っている。」『羅生門』『生きる』もこの方式で生み出されているという。できぬまでもせめて肝に銘じよう。仕事は一日も休んではいけない。