マイケル・ルイスさん。「アスレチックスの成功の原点は、野球の諸要素を改めて見直そうという姿勢にある。経営の方針、プレーのやりかた、選手の評価基準、それぞれの根拠。アスレチックのゼネラルマネージャーをまかされたビリー・ビーンは、ヤンキースのように大金をばらまくことはできないと最初からわかっていたので、非効率な部分を洗い出すことに専念した。新しい野球観を模索したといってもいい。体系的な科学分析を通じて、足の速さの市場価値や四球を含めた出塁率の意義を見極めたりした。そういう研究成果にもとづいて、安くて優秀な人材を発掘していった。アスレチックスがドラフトやトレードを通じて獲得した選手の大半は、古い野球観のせいで過小評価されていたプレーヤーだ」根本的な価値観を覆す弱者の戦略としてのマネーボール。
