伊藤元重さん。「差別化の一つの重要な特徴は、異質のものを組み合わせるということにある。経済学や経営学でシナジーと呼ばれる現象だ。異質のものを組み合わせることは重要だ。異質なものが組み合わされるからこそ、そこにシナジーが生まれる。日本の経済問題を議論するのに、皆が同じような新聞や資料を同じように読んで議論していたのでは、つまらない議論しか出てこない。そうした意味では、学問の世界の経済学と、現実問題としての経済の間に、大きな乖離があるということは、ある意味では大変に好ましいことでもある。35歳ぐらいまでの私は、ほとんど研究室から外の世界に出ることはなかった。そうした時代に私の中に蓄積されていった多くの経済学的な知識が、いま、現実の経済問題についてコメントする上で大きく役立っている」差別化。