積分派の幸福は記憶

楠木建さん。「しかもより重要な事実として、ガツンと来るイベントは毎日起こりません。微分的な幸せの追求には限界があり、積分した総量にこそ幸せがあると僕が思うゆえんです。積分派の幸福は記憶にあります。例えば子育て。やっている最中は大変でも、20年経って振り返ってみると、いくつもの幸せな記憶が積み重なっています。旅行もそうです。その最中も楽しいのですが、ふとしたきっかけに旅行をしていたときのちょっとした出来事を思い出し、何とも言えない幸福感に包まれることがあります。記憶こそ人間の最大の資産だというのが僕の考えです。イヤなことは記憶に定着しないように人間の脳ができているのかもしれません。幸福の正体が記憶資産にあるとすれば、習慣的に日記をつけるのは幸福になるための優れた方法のひとつだと思います」記憶。