微分派と積分派

楠木建さん。「私見では、人は幸福に対する構えで微分派と積分派に分かれます。この分類は、その人が幸せを認識するメカニズムの違いに注目しています。例えば昇進したとか、自分の評価が上がったとか、直前と現在の変化の大きさに幸せを感じるタイプが微分派です。一方の積分派は、その時点での変化率よりも、これまでに経験した大小の幸せを過去から累積した総量に幸せを感じます。これは優劣の問題ではなく、人間のタイプの違いなのですが、幸福の意味するところは微分派と積分派でわりと異なります。ある『イベント』で一時的に幸福感が急増しても、人間はすぐに飽きてしまうので、幸福の源泉としては持続しないということです。微分派にとっての幸せは、そのときはガツンと来ます。昇給や昇進はその典型です」しあわせショートショート微分積分』。