暇は独占の対象

國分功一郎さん。「定住は人類をいかんともしがたい<能力の過剰>という条件のなかに放り込んだ。人類はそれをもとにして文化という営みを発展させてきたが、それと同時に、絶えざる退屈との戦いをも強いられたのだった。だが、退屈はほどなくして、人間にとってのこの上ない難題ではなくなる。有史以来の政治社会、身分制、権力の偏在、奴隷的労働などが、大多数の人間に恒常的な暇を与えることを許さなかったからである。そこでは暇は独占の対象であった。そして暇を独占する階級が有閑階級として発展する。もちろん、民衆レベルでの暇の度合いが相対的に増した社会は存在しただろう。社会が経済的に発展すれば、暇な時間が増えるのは当然だからである。とはいえ、退屈が話題にされることになるのは19世紀以降の社会である」有閑階級ではないけれど。