習慣で安定するのが快

國分功一郎さん。「人間は考えないですむ方向に向かって生きていく。フロイトは、人間の精神生活はあらゆる面において快を求める快原理によって支配されていると言っている。精神、正確にいえば無意識は、快をもとめ、不快を避ける。精神の複雑な動きも、その根源はこの単純な傾向性によって支配されている。問題はここに言われる『快』が何かということである。それは例えば『快楽』という言葉で想像するような激しい興奮状態のことではない。その正反対である。生物は興奮状態を不快と受け止める。生物は自らを一定の状態に保とうとする。習慣は人間を一定の安定した状態に保つ。何かを反復することで習慣が生じる。だが、習慣を作るとそのなかで退屈してしまう。習慣を作らねば生きていけないが、その中では必ず退屈する。だから気晴らしを行う」快。