中野信子さん。「ポール・マクリーンの『脳の三層構造』というものがあります。この理論は、『人間の脳は、行動様式の変化と共に進化してきた』というもの。彼は、人間の脳は、爬虫類脳⇒旧ほ乳類脳⇒新ほ乳類脳の順番に進化してきた、という仮説を立てました。もっとも古い爬虫類脳は個人が生きるための脳、旧ほ乳類脳は個人の生命維持から一歩進んで、種の保全のために働く脳、そして新ほ乳類脳は社会的な関係をスムーズに進めるための脳、いわば共生を志向する脳です。人間の脳は自分の命を守ることから始まって、他者と共に生きるため、という方向で進化してきたと言えるでしょう。つまり、脳は戦って誰かを蹴落とすことより、共生をめざすことのほうが高いパフォーマンスを発揮できるのです。よって、ライバルの成長も祈るのです」勝つというより先を見て。