イースターリンのパラドックス

内田由紀子さん。「一定程度の経済水準に達すると、GDPの上昇と主観的幸福感は関連しなくなることは、『イースターリンの幸福のパラドックス』といわれる有名な議論の中で、1970年代前半に指摘されている。この理由は何か。第一に、人間の心には物質的あるいは社会的環境に対しての『慣れ』が働き、いったん物理的環境が整えば、今度は所属欲求や社会的な地位あるいは承認などに関する高次の欲求が生じてくることによる。第二に、GDPが上昇することでいわゆる『勝ち組』と『負け組』といわれるような格差が生み出されることによるより、低所得者層の公平感が減じられ、社会全体の幸福感が低下することがあげられる。第三に、GDPの上昇により、豊かな環境資源が損なわれるなどのネガティブな側面が生じる」経済は幸福の一側面にすぎない。