望ましさの最大化

内田由紀子さん。「欧米、特にプロテスタントの流れを組む北米中流階級の社会で幸福感が自己の内的望ましさの最大化によって定義されている事の背景には、個々人が『神に選ばれた者』と自覚し、それを証明する為に禁欲的に働く事が人生の目標であり『善』であるという価値観が存在する。幸福感を得ている事は自分が神に選ばれた者である事を証明するが、逆に幸福感の欠如は、自分は神に見捨てられた失敗者なのではないかという懸念を引き起こす。よって、個人は常に自分のパフォーマンス・能力・保有物についての『良さ』の最大化を追求し、幸福を感じている事が必要になる。これに対し東洋文化儒教的・道教的な人生観・宗教観においては、幸福イコール自己の望ましさの最大化とは定義されていない。むしろ関係内要素の平衡化が重視される」文化と幸福。