ひたむきさについて

nakatomimoka2008-12-11

小林正観さん。「帝国ホテルの総料理長を務めておられた村上信夫さんは、18歳で見習いとして採用された時、鍋磨きから仕事を始められたそうですが、その時、『日本一の鍋磨きになろう』と決意されました。当時、調理用の鍋はすべて銅製でしたが、村上さんが磨いた鍋は人の顔を写すほどにピカピカだったそうです。当時の料理人は自分の味を盗まれないように、鍋には洗剤を入れてから洗い場に送ってきたそうです。が、3ヶ月ほど経った頃、『今日の鍋洗いは誰だ?』の問い掛けが始まり、『ムラです』と答えが返ってきた日だけ、洗剤の入っていない鍋が返ってくるようになりました。村上さんにだけ、鍋に付いたソースを舐めることが許されたのです。重役にまでなった料理人のスタートラインは、ひたむきな鍋磨きだったと言えます。」ただ、ひたむきに。